
このブログの概要|読了目安:約9分
本日のブログは、弊社の四つの理念の一つである「顧客主権」についてお伝えします。一般には「顧客第一主義」という言葉が広く使われていますが、弊社は「顧客主権」を理念として掲げています。
2026年10月13日のブログ「「火を絶やさない」〜事業の柱を複数もつ理由」では、製造請負とブライダルという異なる二つの事業を展開できる理由を、工場や婚礼施設を保有しない経営の観点からお伝えしました。もっとも、事業の柱が複数あることと、お客様の課題を解決できることは別の問題です。そこで今回は、お客様に対する弊社の基本姿勢を定めた理念を取り上げます。
製造工程の外部委託を検討するメーカー様も、婚礼部門の運営委託を検討するホテル・レストランの経営者様も、結婚式の相談先を探している新郎新婦も、外部の会社に相談すれば、提案はその会社のサービスを前提としたものになります。では、ご自身の課題を起点に委託先や相談先を選定するには、何を確認すればよいのでしょうか。
結論からお伝えすると、顧客主権とは、事業者の既存サービスを前提にするのではなく、顧客の課題を起点に、依頼内容と依頼範囲を顧客自身が決定できるようにする考え方です。 そのため、委託先や相談先を選定する際は、サービスの質に加えて、ご依頼方法の選択肢を事前確認しておくことをおすすめします。なぜならば、ご依頼方法が一つしかない事業者は、課題に適さない場合でも、そのサービスを提案せざるを得ないからです。
顧客主権とは依頼内容と範囲を顧客が決定できることです
弊社は顧客主権を、「事業者都合ではなく、顧客ニーズに柔軟に対応できる企業としての姿勢を貫きます」という理念として掲げています。さらに、新郎新婦向けサービスのOLLGOOD(オールグッド)では、「出口を先に決めないこと」を顧客主権と定義しています。
それはどういうことかというと、弊社は、顧客が最終的に購入する商品やサービスを出口と呼んでいます。事業者が課題をヒアリングする前にこの出口を決めている状態が、事業者都合です。
例えば、製造工程の外部委託を検討するメーカー様に対して、受託会社が業務内容をヒアリングする前に、自社が得意とする契約形態を前提に提案を進めたとします。この場合、メーカー様は提案された契約形態に合わせて委託業務を検討することになります。一方で、受託会社が業務内容を先にヒアリングし、そのうえで契約形態を一緒に検討すれば、メーカー様は自社の課題に適した契約形態を選択できます。
図1のとおり、両者の違いはサービスの優劣ではなく、検討の起点にあります。顧客の課題が先にあり、手段はそのあとに決まるという点が、顧客主権の特徴です。
顧客第一主義と顧客主権の違いは決定権にあります
では、広く使われている顧客第一主義と、顧客主権はどこが違うのでしょうか。どちらも顧客を重視する点は同じで、違いは最終的な決定権の所在にあります。
一般に顧客第一主義は、顧客の利益を最優先に事業を行う姿勢を指します。弊社は、この考え方では、顧客にとって何が最善かを判断するのは事業者になると考えています。これに対して「主権」は、最終的な決定権を意味します。OLLGOODがブランドメッセージに「The Choice Is Yours.」を掲げているのも、同じ考え方によるものです。
| 比較項目 | 顧客第一主義 | 顧客主権 |
|---|---|---|
| 判断の |
事業者 | 顧客 |
| 事業者の |
最善と |
選択肢の |
| 検討の |
自社の |
顧客の |
この比較は、顧客第一主義を否定するものではありません。自社のサービスを顧客のために磨き続けることは、どの事業でも重要です。ただし、既存のサービスの範囲で考える限り、そのサービスが課題に適さない場合に、ほかの手段は検討の対象になりません。そのため弊社は、サービスの向上に加えて、顧客が選択できる環境の整備までを理念に含めています。
事業者都合はビジネスモデルから生じます
それでは、なぜ事業者都合は生じるのでしょうか。原因は、事業者のビジネスモデルにあります。
婚礼業界を例にご説明します。結婚式場は、建物というハコを保有する装置産業です。建物や設備への投資を回収する必要があるため、自社の会場と提携先を利用していただくことが事業の前提になります。このビジネスモデルには新郎新婦にとっての利点もあり、衣裳や写真の提携先がそろっているため、手配を効率よく進められます。
2026年10月10日のプラスワン・プランナーのブログ「ウエディングプランナーの業務委託の原点」では、結婚式場に勤務していた当時、新郎新婦の衣裳持ち込みのご希望にお応えできなかった経験を書いています。そのブログにあるとおり、衣裳や装花の売上は婚礼施設の経営を支えており、持ち込みをお受けできないことには経営上の合理的な理由があります。一方で、新郎新婦の立場から見れば、それは事業者の都合ということになります。
つまり、どちらかが間違っているのではなく、ビジネスモデルと顧客の希望が一致しないことがあるということです。これは婚礼業界に限った話ではありません。特定の商品やサービスが収益の柱である事業者は、業種を問わず同じ構造を抱えています。弊社も事業者である以上、自社の都合が生じる可能性はあります。だからこそ弊社は、顧客主権を全社の理念として掲げています。
ハコをもたない経営が顧客主権を支えています
では、弊社はなぜ出口を先に決めずに提案できるのでしょうか。理由は、四つの理念の一つである「ハコをもたない経営」にあります。
弊社は工場も婚礼施設も保有していません。そのため、建物や設備の投資回収を前提に、特定のサービスをお勧めする必要がありません。2024年4月11日のプラスワン・プランナーのブログ「ミッション・ビジョン・バリュー」では、工場や婚礼施設という本丸を自ら運営するのではなく、本丸に対して側面から人材とノウハウを提供していることを、ミッション「側面支援で社会貢献」としてお伝えしています。
このミッションのもとになっている理念が、顧客主権です。弊社の目的はお取引先の課題解決にあるため、提供する業務の内容もお取引先の課題に応じて変わります。
ただし、ハコをもたないだけでは顧客主権は実現しません。なぜならば、ハコがなくても、ご依頼方法が一つしかなければ、顧客はそれに合わせるしかないからです。そこで弊社は、製造請負、婚礼施設向け、新郎新婦向けの三つの領域のそれぞれに、ご依頼方法の選択肢を用意しています。
図2のとおり、提供するサービスは領域ごとに異なりますが、依頼内容と範囲をお客様が決定できる点は共通しています。各領域の内容は次のとおりです。
製造請負では契約形態と委託範囲をご選択いただけます
製造請負では、組立、機械塗装、検査、倉庫業務を受託しています。倉庫業務には、入出庫・保管・在庫管理・出荷・搬入が含まれます。
契約形態は、請負・準委任・労働者派遣の三つからご選択いただけます。委託範囲も業務単位で設定できるため、一部の業務のみ、特定の期間のみのご依頼もお受けしています。例えば、繁忙期に限って委託範囲を広げることが可能です。
婚礼施設向けでは委託する工程と期間をご選択いただけます
婚礼施設向けには、人員を補うサービスと、婚礼部門の運営を受託するサービスの二つがあります。
- フリープランナーのアウトソーシング:新規接客や施行を、弊社の登録基準を満たすフリープランナーに委託いただけます
- 婚礼施設の運営受託:集客・新規接客・打合せ・当日の運営を、全部でも一部でもご依頼いただけます
ホテルやレストランの婚礼部門では、段階的な導入や期間を限定したご依頼にも対応しています。なぜならば、婚礼の需要は事前に見通しにくいため、実績を確認しながら委託範囲を見直せる契約が適しているからです。
OLLGOODではウエディングのスタイルからご検討いただけます
OLLGOODは、2027年秋の正式リリースに向けて準備を進めている、新郎新婦向けの総合ウエディングプロデュースサービスです。
新郎新婦のニーズは、挙式と披露宴に限りません。リクルート ブライダル総研の「結婚マーケット調査2025」によると、既婚者全体で、結婚を機としたウエディングイベントの実施率は73.5%、いずれも実施していない人の割合は26.5%との記載があります。この73.5%には、写真撮影のみを実施した人の16.3%が含まれています。
この調査結果のとおり、結婚を機に何を行うかは新郎新婦によって異なります。そのためOLLGOODでは、フォトウエディング、報告会、フォトと報告会、1.5次会、挙式と披露宴、オーダーメイドウエディングの六つのスタイルを用意しています。会場、アイテム、担当のフリープランナーも、ご希望に応じて選択いただけます。
もちろん、結婚式場を先に決めることも、新郎新婦にとって有力な選択肢の一つです。ニーズに適していると判断して選択したのであれば、それも顧客主権です。
顧客主権はご要望をすべてお受けすることではありません
ここまで、お客様が選択できる内容をお伝えしました。では、顧客主権とは、ご要望をすべてお受けするという意味なのでしょうか。そうではありません。
なぜならば、顧客が決定するのは依頼内容と範囲であり、法令と品質基準は決定の対象ではないからです。これらを外れて受託すれば、結果としてお客様に不利益が生じます。
法令で定められた事項はご要望があっても変更できません
代表的な例が、製造請負における指揮命令です。例えば、メーカー様から「請負契約のまま、作業者に直接指示を出したい」というご要望があったとします。
厚生労働省の「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)によると、請負では、受託者が労働者に対する業務の遂行方法に関する指示その他の管理を自ら行うとの記載があります。そのため、発注者が作業者に直接指示を出している実態があれば、契約書が請負であっても、労働者派遣と判断される可能性があります。
この場合、ご要望どおり請負のままお受けすれば、偽装請負と判断されるおそれがあり、メーカー様にも不利益が生じます。作業者に直接指示を出すというご要望に適した契約形態は、労働者派遣です。
図3のとおり、顧客主権で重要なのは、ご要望をお断りすることではなく、ご要望に適した手段を一緒に検討することです。三つの契約形態は、そのための選択肢です。
品質基準も引き下げることはできません
人材についても同様です。プラスワン・プランナーでは、次の登録基準を設けています。
| 担当業務 | 経験年数 | 実績基準 |
|---|---|---|
| 新規接客 | 2年以上 | 成約率45%以上 |
| 施行 | 3年以上 | 担当150組以上 |
この基準を設けているのは、婚礼施設の課題が人数の確保だけでなく、新規接客と施行の質の維持にもあるからです。
弊社のバリューには「謙虚・誠実をすべての基盤に」という項目があります。このバリューに基づき、対応できない事項は理由とともにお伝えしています。お客様が適切に判断するために欠かせないからです。
委託先の選定ではご依頼方法の選択肢の事前確認が重要です
以上の内容は、弊社に限らず、外部の会社を選定する際の基準としてご活用いただけます。製造工程の委託先、婚礼部門の委託先、結婚式の相談先のいずれにも共通する確認事項は、次のとおりです。
- サービスの説明の前に、課題をヒアリングしているか
- ご依頼方法の選択肢が複数あるか(契約形態、委託範囲、スタイルなど)
- 一部の業務のみ、期間限定でのご依頼に対応しているか
- 課題に適さない場合に、その旨を説明しているか
- 対応できない事項について、理由と代替案を提示しているか
特に重視していただきたいのは、課題に適さない場合にその旨を説明するかどうかです。なぜならば、自社のサービスが適さないと説明できる会社は、自社の売上より顧客の課題を優先して判断していると考えられるからです。
まとめ
本日のブログでは、弊社の理念である「顧客主権」についてお伝えしました。顧客主権とは、事業者の既存サービスを前提にするのではなく、顧客の課題を起点に、依頼内容と依頼範囲を顧客自身が決定できるようにする考え方です。
なので、まずは外部の会社に相談する前に、解決したい課題を明確にしておくことをおすすめします。そのうえで、ご依頼方法の選択肢を事前確認すれば、その会社が課題を起点に提案しているかどうかを判断できます。
弊社へのお問い合わせ窓口は、事業ごとに分けています。製造工程の委託は製造請負のご相談、フリープランナーのアウトソーシングや婚礼部門の運営委託は婚礼施設様向けのご相談、結婚式のご相談は結婚式をお考えの方のご相談からご連絡ください。
用語解説
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 顧客主権 | 事業者の |
| 顧客第一主義 | 顧客の |
| 事業者都合 | 顧客の |
| ハコを |
工場や |
| 装置産業 | 建物や |
| 新規接客 | 婚礼施設に |
| 施行 | 成約後の |
| 請負 | 受託者が |
| 準委任 | 受託者が |
| 労働者派遣 | 派遣元が |
| 偽装請負 | 請負の |
| フリープランナー | 婚礼施設に |














